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Do, Thi Mai Dung*; Sujatanond, S.*; 小川 徹
Journal of Nuclear Science and Technology, 55(3), p.348 - 355, 2018/03
被引用回数:6 パーセンタイル:52.79(Nuclear Science & Technology)シビアアクシデント時のセシウム挙動理解のために、水素-水蒸気環境におけるCsMoOの高温化学を調べた。CsMoO-MoO疑似二元系をRedlich-Kister型の熱化学モデルで記述した。モデルの検証のために、CsMoOの蒸発損失速度を熱天秤で乾燥及び湿潤アルゴン雰囲気下で測定し、解析により正確に予測評価できることを示した。同モデルを用いて、全電源喪失によるBWR炉心損傷時のCs及びMoの気相化学種間での分配を評価した。
中島 邦久
Mass Spectrometry (Internet), 5(2), p.S0055_1 - S0055_6, 2016/12
平衡蒸気圧データは、蒸気種だけでなく凝縮相の熱力学的性質を調べる際にも利用されているが、蒸気圧データについては、2桁あるいはそれ以上の違いがあることは珍しいことではない。本報告では、蒸気圧測定における信頼性向上のために、第二法則,第三法則処理と呼ばれる手法を用いた新しいデータ解析の手法を提案している。この手法をセシウムメタボレート, CsBOや銀の蒸気圧測定データに対して適用した結果、信頼性の高い蒸気圧データの選定につながることが分かった。この新しい熱力学的手法では、測定データの取り扱いにおいて、特別なテクニックや経験を必要とせず、測定手法に関係なく汎用性もあることから蒸気圧測定における信頼性向上のための手法として役に立つと考えられる。
高井 俊秀; 中島 邦久; 古川 智弘
JAEA-Technology 2015-002, 20 Pages, 2015/03
ソースターム評価手法の高度化を目指し、核分裂生成物等に係る基礎熱力学データを拡充するため、模擬FP化合物の平衡蒸気圧測定技術の開発を試みた。測定技術の開発にあたって、既存の高温質量分析計について、高質量数の模擬FP蒸気種の測定と、試料充填・取出し時の変質防止の観点から改造を行い、模擬FP化合物の平衡蒸気圧測定を可能とした。標準試料(銀)を用いた機能確認、模擬FP試料(ルテニウム系試料)を使用した性能確認を実施した。模擬FP試料を使用した試験結果を基に、固相の酸化ルテニウム(IV)の酸素の解離圧と標準生成エンタルピーを評価した結果、文献値と一致することを確認した。これにより、今回整備した試験装置を用いて、高精度の熱力学データの取得が可能であることを確認できた。
大野 修司*; 宮原 信哉*; 倉田 有司
Journal of Nuclear Science and Technology, 42(7), p.593 - 599, 2005/07
鉛ビスマス共晶合金(LBE)の蒸発について基礎的な知識を得るため、LBEの平衡蒸発実験を行った。実験には、等温蒸発容器中に飽和させた蒸気を不活性のキャリアーガスによって移行させ、容器の外で捕集するトランスパイレーション法を用いた。実験温度範囲は450Cから750Cであった。LBEの飽和蒸気圧,LBEで飽和したガス中のPb, Bi, Biの蒸気濃度,LBE中の鉛の活量係数及びLBE蒸発速度に関する実験データを取得した。550Cから750Cの温度範囲で、LBE蒸気圧の評価式を得た。
加藤 徹也*; 飯塚 政利*; 井上 正*; 岩井 孝; 荒井 康夫
Journal of Nuclear Materials, 340(2-3), p.259 - 265, 2005/04
被引用回数:24 パーセンタイル:81.17(Materials Science, Multidisciplinary)溶融塩電解精製で回収した、ウランを2.9wt.%、プルトニウムを8.7wt.%含むウラン-プルトニウム-カドミウム三元合金中のカドミウムを蒸留して、ウラン-プルトニウム二元合金を得た。約10gの三元合金を用い、蒸留は減圧下で行った。1073Kで蒸留した後の回収物中のカドミウム残留量は0.05wt.%未満であり、物質収支もよく一致した。回収物は緻密なウラン-プルトニウム二元合金であることを、SEM観察で確認した。また、蒸発したカドミウムのほぼ全量を回収することができた。
大野 修司*; 宮原 信哉*; 倉田 有司
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-12) (CD-ROM), 6 Pages, 2004/00
加速器駆動核変換システムのターゲット及び冷却材に関する基礎データを得るため、液体鉛ビスマス共晶(LBE)からの鉛,ビスマス,テルルの蒸発挙動を調べた。テルルは鉛ビスマスを用いるとき安全評価上問題となるポロニウムの模擬物質として使用した。実験では等温の蒸発容器上に一定量のキャリアーガスを流し、蒸気を飽和させるトランスパイレーション法を使用した。450Cから750Cの温度で、LBEからの鉛及びビスマスの蒸気圧が得られた。蒸気中のビスマスと鉛の比は約3であった。LBEへのテルルの添加により、ガス相中の鉛の量が増加し、LBE中ではテルルはPbTeとして存在することが示唆された。
越塚 誠一*; 池田 博和*; Liu, J.*; 岡 芳明*
JAERI-Tech 2002-013, 60 Pages, 2002/03
原子炉のシビアアクシデントにおいて、高温の溶融炉心が低温の冷却水と接触すると蒸気爆発を生じる可能性がある。そこで、蒸気爆発素過程の解明のため、溶融液滴を包む蒸気膜の崩壊時を模擬し、溶融すずの単一液滴に周囲から水ジェットが衝突する体系で粒子法による3次元シミュレーションを行った。シミュレーション結果では、溶融物がフィラメント状に液滴から飛び出してくる様子が捉えられた。これはCiccarelli-FrostのX線高速写真と非常によく一致している。ただし、X線写真に見られるような急激な細粒化が生じるためには、液滴接触時に自発核生成による高速沸騰が必要である。溶融炉心液滴の場合には、水ジェットが溶融液滴に接触する際に界面温度は溶融物の凝固点以下になるので、急激な細粒化は生じにくく、従って大規模な蒸気爆発も発生しにくいと考えられる。次に、蒸気爆発の圧力波伝播過程の1次元解析コードを開発した。熱的細粒化には液液接触時の自発核生成のモデルを採用した。本コードを用いて蒸気爆発における圧力波伝播の1次元テスト計算を行い、従来のコードによる計算結果とよく一致した。
山脇 道夫*; J.Huang*; 利根川 雅久*; 小野 双葉*; 安本 勝*; 山口 憲司*; 杉本 純
JAERI-Tech 98-003, 32 Pages, 1998/02
シビアアクシデント時のソースタームを精度良く評価するため、原研では照射燃料からのFP放出実験(VEGA)計画を開始している。燃料から放出されるFPは、化学形に応じて蒸気圧が異なるため、それに応じて大きく異なった移行挙動を示す。そこで、燃料から放出されたFPの高温雰囲気下での化学形及び蒸気圧を精度良く知ることにより、捕集装置までのFP移行挙動を明らかにするとともに、実炉での挙動を評価するためのモデルの開発を目指したVEGA計画の補完的な基礎研究を開始した。本研究では、FPを模擬したCs,Ba,Sr化合物をクヌッセンセルに導入し、水蒸気や水素の存在する高温雰囲気でのFPでの化学形と蒸気圧を求めるためのスコーピング実験を実施し、ソースターム評価上重要なCs,Ba,Srについて基礎的な知見を得た。
西原 哲夫; 羽田 一彦; 塩沢 周策
JAERI-Research 97-022, 110 Pages, 1997/03
高温ガス炉-水素製造システムの安全性に関する検討を行い、以下に示す安全設計の考え方等を提案した。原子炉建家内部の火災・爆発に対しては、その破損により可燃性物質が流入するおそれのある機器・配管を耐震レベルAもしくはC(S)で設計し、これらの配管を引き回すトレンチ等を窒素雰囲気とすることを提案した。原子炉建家外部の火災・爆発に対しては、水素製造プラントと原子炉の安全上重要な機器との間に離隔距離を取ることを提案した。対象とすべき事故は、大規模液面火災、ファイヤーボール、容器内爆発及び蒸気雲爆発とし、特に蒸気雲爆発に対しては新しい評価方法の考え方を提案した。システム配置上近接立地が要求される場合には、可燃性物質貯蔵タンクを地下埋設式常圧貯蔵タンクとし、強制排気システムを設置することを提案した。
八木 理公; 阿部 豊*; 安達 公道*; 小林 朋能*; 山野 憲洋; 杉本 純
JAERI-Research 96-032, 152 Pages, 1996/06
熱的デトネーションモデルに基づく蒸気爆発進展過程の予備的シミュレーションを行った結果、膜沸騰を崩壊させるために必要となる蒸気爆発素過程の移行条件としての圧力条件が蒸気爆発発生の有無に極めて重大な影響を及ぼすことを明らかにした。そこで、高温の炭素鋼球またはステンレス鋼球表面上に膜沸騰を形成させ、圧力波による強制的な膜沸騰の崩壊挙動を観察し、膜沸騰崩壊条件に関する基礎的な実験を実施した。特にステンレス鋼球の実験の場合、鋼球表面温度は圧力波の通過により急激に降下し、圧力波が通過した直後の鋼球の表面温度変化から、膜沸騰の崩壊挙動が膜沸騰の非崩壊、崩壊、崩壊後再発生の3パターンに分類できることを確認した。また、本実験条件の範囲においては膜沸騰の崩壊させるのに必要となる圧力が鋼球の初期温度に強く依存することを確認した。
功刀 資彰; 安田 英典*
Fusion Engineering and Design, 28, p.162 - 169, 1995/00
被引用回数:1 パーセンタイル:17.53(Nuclear Science & Technology)プラズマ対向材料(例えば、炭素、タングステン及びベリリウムなど)の超高温域(例えば、10000K以上)における真空中での蒸発・凝縮速度及び蒸気圧力などはそれほど明確にされていない。本報告は、これらプラズマ対向材料の蒸発・凝縮速度を評価するために開発した2つのコード、(1)BKW方程式に基づく差分コード及び(2)直接シミュレーションモンテカルロ法を用いた粒子コードに関するものであり、2手法間の解析結果の比較検討を行うとともに、プラズマ対向材料の候補である炭素、ベリリウム、タングステンについて既存の蒸気圧曲線と解析値との比較を行い解析値の妥当性が示された.
小川 徹; 大道 敏彦; 前多 厚; 荒井 康夫; 鈴木 康文
Journal of Alloys and Compounds, 224, p.55 - 59, 1995/00
被引用回数:24 パーセンタイル:78.26(Chemistry, Physical)原子炉級PuN試料のクヌーセン・セル質量分析法による蒸気圧測定の際、初期に、熱力学的予測に比べて顕著に低い質量数239と、非常に大きい質量数241の信号が認められた。この観察事実は、(Pu,Am)Nの熱力学的モデルによって良く説明できる。解析に当っては、AmNのGibbs生成自由エネルギーがUN,PuNのそれと大きくは異ならないという仮説を立てた。計算と実験との一致はこの仮説を支持するものであった。AmNの生成の第二法則エンタルピーは1600Kで-294kJ/molと評価された。
宇賀神 光弘; 白鳥 徹雄; 柴 是行
Journal of Nuclear Materials, 116(2-3), p.172 - 177, 1983/00
被引用回数:15 パーセンタイル:81.67(Materials Science, Multidisciplinary)固溶体ThUOの酸素ポテンシャルとO/M比とを、固体電池式酸素センサーを併用した熱重量法により測定した。混合酸化物への酸素の溶解のエントロピー、エンタルピーが酸素ポテンシャルの温度依存性から求められた。これらの熱力学諸量と生成の自由エネルギーとを用いて、2000-2300KにおけるThUO上の蒸気圧を計算した。その結果、UO(g)の蒸気圧はThO(g)より数桁高く、Uが優先的に蒸発すること、蒸気圧はO/M比に依存することなどがわかった。
清水 三郎; 小貫 薫; 中島 隼人; 池添 康正; 佐藤 章一
電気化学および工業物理化学, 50(11), p.904 - 908, 1982/00
NISプロセスで水素を製造するために必要な熱量1746kJ/molHのうちの42%をヨウ化ニッケル(II)含水塩系の乾燥のために用いる。この塩の乾燥のための基本データである平衡水蒸気圧測定を行い、次のことを明らかにした。(1)平衡水蒸気圧は二つの蒸気圧式であらわされる:logP(atm)=8.23-3.1510/T(22.3~60.3C)、logP=6.34-2.5210/T(60.3~134.3C)。(2)ヨウ化ニッケル(II)水和物では低次の安定な水和物は存在しない。この点は、低昇温速度熱重量分析で確かめられた。(3)含水塩中の水は60.3C以上では結晶水から液体状態の水へ転移すると考えられる。(4)蒸気圧式より本含水塩の乾燥は136C、蒸気圧1.5atmの条件下で実施でき、また蒸発潜熱は蒸気圧縮法で回収し得る。
藤城 俊夫; 斎藤 伸三
JAERI-M 9306, 40 Pages, 1981/02
本解析コードは燃料破損に伴なって生じる燃料・冷却材相互作用の過渡挙動解析のために開発したものであり、UO・軽水およびUO・ナトリウムの組合せに適用することができる。解析モデルは、冷却材中に飛散した高温の燃料片が混合領域内で冷却材と均一に混合、冷却材を急過熱して蒸気を発生するものとし、混合領域が流路に沿って一次元的に膨脹するとしている。混合領域の拘束条件としては音響的拘束と慣性拘束の両モデルが組込まれている。入力により燃料粒子径分布、混合時間、燃料、冷却材比、流路形状、燃料、冷却材高期条件、燃料・冷却材間の熱伝達率等を指定することができ、各種条件の下での圧力パルスの発生、冷却材スラグの噴出、混合領域の過渡的な状態変化等が解析できる。
藤城 俊夫
JAERI-M 7583, 39 Pages, 1978/03
本解析コードは原子炉燃料の破損事故において、分散した高温の燃料片と冷却材とが直接接触した際に生じる破壊圧力発生挙動の解析のために開発されたプログラムである。本計算モデルにおいては、破損発生領域内で小粒子となって飛散した高温の燃料片と冷却材が均一に混合している状態を初期条件として計算を開始し、破壊領域内で冷却材が急激に気化するために生じる圧力パルス、およびこの圧力により加速される冷却材のエジュクション挙動を計算する。燃料・冷却材間の熱移動は、破損燃料片を球形として燃料粒子内の熱伝導、燃料粒子表面での熱伝達率の変化、燃料粒子径の分布等を考慮して計算し、一方、破損領域内の冷却材の状態はホモジニアスとして圧力、ポイド率等を求める。高速炉および軽水炉の両体系の計算ができるように、ナトリウムおよび水に対する物性サブルーチンを備えており、いずれかを選択できる。
中島 邦久
no journal, ,
原子力機構での高温質量分析研究のうち、気体CsBOの熱力学研究に関する成果について発表する。具体的には、軽水炉のシビアアクシデント時、BCの影響を考慮した熱力学平衡計算によれば、気相中での主な化学形は、CsBO(g)と予想されているが、この解析に使用されたCsBO(g)の熱力学データの信頼性は高くない(poor qualityと判定)。そのため、より信頼性の高いCsBO(g)の熱力学データを得ることを目的に、高温質量分析法によるCsBOの平衡蒸気圧測定を試みた。その結果、CsBOの平衡蒸気圧測定データを用いて、第二法則、第三法則処理により評価したCsBO(g)の標準生成エンタルピー (CsBO,g)は、それぞれ、-700.710.7kJ/mol, -697.010.6kJ/molとなり、誤差の範囲内で一致したことから信頼性の高い熱力学データを得ることができた。